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男看護師のつぶやき

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インシデント

 

インシデントの共有では、僕の勤務先のものと他施設からのものをランダムに送ります。

 

【インシデントのジャンル】

・点滴肢で採血をとった

 

〈インシデント内容〉

・右上肢より持続点滴中の患者。採血指示があり左上肢で血管を探したが見つからず、右正中で採血を実施。検査室より血糖が600mg/dl台の異常値であると連絡あり。主治医に報告し、インスリン混注されたものを持続投与開始するよう指示あり実施。投与1時間後検査室から「点滴肢で採血をとっていないか」と再度連絡あり。確認すると右正中に止血用テープが貼ってあるのを発見。血糖測定し50mg/dl台のためインスリン混注の点滴中止し低血糖処置をした。

 

〈挙げられた改善策〉

・採血部位、異常値連絡のルール徹底。

 

点滴している四肢と同じ四肢から採血をとると、点滴の成分が採血データに反映されてしまうため基本的に禁止とされています。今回は糖フリーのものではなかったため発見されました。

 

僕の病院でも点滴している患者はいますが、その時は非点滴肢または下肢で採血をしています。

今回の事例の採血した看護師は、点滴肢で採血をとってはいけないことを知っていたのかどうかで改善策は変わってくると思います。

 

また検査室のスタッフも電話を受けた看護師も異常値データに疑問を抱かなかったのか、前回値と比較しなかったのかが問題点です。前回値と比較し数値が跳ね上がっていたら、点滴肢でとったんじゃないかと真っ先に疑いの目が向けられたはずです。

 

採血部位の確認も必要ですが、前回値とかけ離れていたらちゃんとした素のデータなのかと疑問を抱き、医師の指示を仰ぐ前に採血採取した看護師に確認をするようにしましょう。

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【インシデントのジャンル】

・体重増減勘違い

 

〈インシデント内容〉

透析室入室時の体重測定で、前回透析後体重より3kg減っていたが、3kg増加と勘違いした。ドライウェイトは決まっていなかったため、医師の指示があるまで0.8kg/hで除水を開始した。1時間後血圧低下あり医師に報告したところ、前回体重より3kg増加ではなく3kg減少していることに医師が気付きすぐ除水を停止した。

 

〈挙げられた改善策〉

・前回体重から増えているという思い込みをなくす。

・計算機を使って増減計算をする。

 

透析導入になる方は腎機能が低下していて十分な排泄ができないので、水分も体に溜まりやすくなります。そこで、透析で除水をすることで体重コントロールをします。

そのため透析日と透析日の間では基本的には体重が増加します。

しかし、まだ排泄機能が保たれている方や、状態不良で食事・水分摂取ができていない時には、前回透析後体重より減少して翌透析日を迎えることもあります。

 

今回の事例は、「増えてくるのが当たり前だろう」といった思い込み。イレギュラーとまではいきませんが、そういった(前回透析後体重より減少してくる)事例が少ないことで起きたインシデントになります。前回透析後体重と現体重の2つの体重が書かれた紙があったら、大きい方が現体重だと思い込んでしまう気持ちもわかります。おそらくその2つの体重を見間違えたので今回は計算機を使ったところで結果は同じだったと思います。

 

今回の事例に限らず、思い込みは危険です。「いつもこうだから、、」という考えは捨て、毎回きちんと確認していきましょう。

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【インシデントのジャンル】

・外筒残存によるグラフトシャント感染

 

〈インシデント内容〉

人工透析穿刺時、外筒を少し残し、内筒を少し引いた状態でグラフトシャントを探った。血管確保でき透析開始し、トラブルなく透析は終了した。翌透析日グラフト部発赤あり、感染が疑われ抗生剤内服が開始になった。内服後もグラフト部感染軽快せず、感染兆候悪化のためグラフト抜去手術を行なったところ、透析針数ミリの残存確認あり、針残存による感染と判明した。

 

〈挙げられた改善策〉

・透析穿刺時の手技徹底。

・内筒再穿刺禁止の徹底。

 

外筒が残る理由は、外筒を留置しようと押し込んだ際に折り曲がってしまい、そこに内筒をさらに進入させてしまうことで内筒が外筒を切ってしまうからです。

透析針だけでなく、通常点滴時に用いるサーフロー針でも同じ事故は起こり得ます。逆血が来なくて内筒を戻して刺し直すという経験がある人は多いんじゃないでしょうか。

 

最悪の場合こういった事象に陥りかねないということを頭に入れ、普段から穿刺していきましょう。

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【インシデントのジャンル】

・担当見落とし

 

〈インシデント内容〉

・日勤時はホワイトボードを見てその日の自分の担当を確認することになっているが、担当を一人見落としてしまい、その患者は10時に時間薬があったがそれが抜けてしまった。13時になって、10時の時間薬が投与されていないことにリーダーが気付き発覚した。

 

〈挙げられた改善策〉

・リーダー板の自分の担当患者欄に印鑑を押す。

 

今回は受け持ち患者確認漏れですね。以前僕が勤務していた病院での事例です。

ここで言っているリーダー板とは、チーム毎の患者が載っているワークシートです。改善策で↑の工程を組み込み、それ以降は抜けがなかった気がします。

 

今回は途中で気付けましたが、もしかしたら日中誰も訪室せず、バイタルも測らず、ケアもせず、、といった状況に陥りかねないものです。

担当割り振りって病棟・病院によって様々であり、抜けやすいところではあります。それぞれの病棟・病院に合った抜けのない方法を考えていきましょう。

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【インシデントのジャンル】

・禁食中の患者に食事提供

 

〈インシデント内容〉

・整形外科手術の患者。手術翌朝より食事再開と麻酔科より指示があったが、手術当日の夕食より食事を提供してしまった。配膳は担当看護師ではないスタッフが配膳し、少量摂取したところで担当看護師が気付いた。禁食の入力は基本的に前日の日勤看護師が行ない、帰室時間・食事再開を予測して夕食〜または翌朝〜の入力をしている。もし手術当日麻酔科の食事指示があらかじめ入力されていたものと違っていたら手術当日の看護師が入力変更をする決まりになっていた。今回は前日の日勤看護師が夕食〜食事開始と入力していて、術後麻酔科より翌朝〜食事再開と指示が出たにも関わらず入力変更を忘れ夕食提供に至った。

 

〈挙げられた改善策〉

・手術当日、食事再開指示と入力画面を必ず確認する。

・患者・付き添い家族・担当看護師以外のスタッフにも周知できるよう、床頭台に「○○〜食事再開」の札を下げる。

 

今回は日勤・夜勤それぞれに注意が必要な事例でした。

改善策で、必ず確認と書いてありますが、それは明確ではないためまた抜けると思います。確認というのは個人の注意力の問題なので。2つ目の改善策のような、みんなで周知・統一できる工程を設ける必要があります。

 

それでも万が一、誤って配膳をしてしまうことがあるならば、食事入力を全患者翌朝〜再開にしてしまえば良いと思います。翌朝〜の指示なのに夕食を摂取してしまうより、夕食〜の指示で夕食提供を忘れたという方がまだリスク的にもマシなので、全患者翌朝〜にして、もし夕食〜再開と指示が出た時だけ入力変更をする方が断然良いです。

 

同じような対応をしている病院があれば参考にしてみてください。

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【インシデントのジャンル】

・点滴投与忘れ

 

〈インシデント内容〉

・抗生剤2回/日投与中の患者。1本目は日勤帯午前中に投与するものだったが抜けていて16時に他のメンバーにより発見された。担当看護師はその日リーダーであり、点滴の他に吸引などの他の処置もあって業務繁忙であり忘れてしまった。

 

〈挙げられた改善策〉

・注射箋に赤字で投与時間を記載する。

・タイマーをセットする。

 

今回は業務繁忙という理由で、時間の点滴が抜けてしまったようです。

改善策で、注射箋に投与時間を赤字で記載するとありますが、その注射箋が目に届かないところにあったら全く意味がありません。

 

タイマーを使えば確かに抜けないですが、僕はほとんど使いません。使わない理由としては作業が中断されるからです。

タイマーが鳴り点滴の準備に入ると、その時にやっていた作業を一時中断することになるのでそこでまた別の抜けが生じやすくなります。

作業中断によるインシデントは結構多いようです。

例えばダブルチェックの依頼などで他のスタッフに声を掛けるタイミングとかも、本来は慎重に選ばなければいけないかもしれないですね。

 

今回の改善策としては、

・自分の目に届く範囲に点滴を置いておく。(今回のようにリーダーであれば、リーダーテーブルの手の届くところ)

・(どうしても忘れてしまう人はタイマー使用)

 

抗生剤の投与であれば10分~15分のズレ程度なら問題ありませんから、他の抜けのリスクまで考慮すると、タイマーを使用せず自分の作業のキリがいいタイミングで点滴を準備するのが一番良いと思います。

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【インシデントのジャンル】

・採血のタイミングミス

 

〈インシデント内容〉

・3食経管栄養中の患者に対し、朝5時の経管栄養を実施。その後のラウンド時に採血を実施。日中、採血結果でグルコース値が高いため夜勤者に確認したところ、経管栄養後に採血を実施したことに気付いた。

 

〈挙げられた改善策〉

・経管栄養を行なっている患者に採血がある時は、経管のトレイに採血一式と「採血あり」の札を入れておく。

・経管栄養を行なっている患者は経管前に採血を行なうという意識を持つ。

 

 

改善策を見ると、当事者は採血を経管栄養前に採らなければいけないということを知らなかったんじゃないかと思います。実際経管栄養後のラウンドで採血を採っているわけですから早ければそこで気付けたはず。

なので一つは知識の問題だったと思います。

 

もう一つ、採血ありの札を入れるとありますが、元からあったのなら入れているはずですから新たに札を作るようになったんだと思われます。

僕はこのやり方はあんまり良くないんじゃないかなと思っています。

採血の他にも「血糖測定あり」の札も作らなきゃいけなくなったりで、やることが増えるのと単純にものが増えるからです。

 

札をいっぱい作ったとして、その札を入れ忘れたら「札がないから採血も血糖もない」と思い込んでしまいます。札を信じて動いた結果抜けに繋がります。

 

札を入れるなどという小さな工程も積み重なると結構面倒な作業になるので、今回はシンプルに知識の問題、採血がある時は採血一式を経管栄養セットと一緒に準備する。

でいいと思います。

 

抜けないために工程を一つ増やすということは必ずしも良いとは限りません。

インシデント全般、なるべくなら作業工程を増やさない改善策を考えられると良いと思います。